【居住用】コンテナハウスは家(住宅)として住める?メリット・デメリットを解説。
『コンテナハウスに住むメリット・デメリット』について徹底解説します。
近年SNSなどでもよく見かける、コンテナハウス。
スタイリッシュでコンパクトな外観は、ガレージや倉庫としてだけでなく、現在ではセカンドハウスやカフェ、そして花屋さんや美容室など様々な用途で使用されています。
またコンテナハウスを使った建築物は完工が早いため、臨時のホテルや避難所としても使用されており、使い勝手が良いと人気です。
今回はそんなコンテナハウスの特徴や費用、メリット・デメリットを徹底解説します。
将来コンテナハウスに住んでみたい方や、建設費用を抑えたセカンドハウスや店舗をご検討の方は、是非参考にしてくださいね。
(基礎編)そもそもコンテナ・コンテナハウスって何?
そもそも「コンテナ」や「コンテナハウス」とは、どういったものなのでしょうか。
コンテナハウスがどのようなものなのかを説明するにあたって、まずはコンテナについて詳しく説明していきます。
またコンテナハウスがどのように使われているのかもしっかり解説していきますね。
(輸送用)コンテナってどんなもの?
コンテナとは貨物を輸送する際に使用する容器です。列車や船で輸送する際に使用し、主な材質はアルミニウム製とスチール製の2種類があります。
国土交通省の説明資料によると、主に貨物用として使用されているのは20ft(長さ:6,058mm 幅:2,438㎜ 高さ:2,591㎜)か40ft(長さ:12,192mm 幅:2,438㎜ 高さ:2,591㎜)です。
ちなみにコンテナの由来は英語で『contain:~を収容する』が語源となっています。
(住居など)コンテナの様々な使い道
一般的には貨物用として使用されているコンテナですが、他にもコンテナはガレージやお店、臨時施設、居住用としても使用されています。
建物として使用する場合、貨物用のコンテナは使用できません。
日本では建築基準法に基づいて造られた建築用コンテナを「コンテナハウス」と定義しています。コンテナハウスは以下のような使い道があります。
- ガレージ
- 倉庫
- 事務所
- 店舗
- 医療施設
- 居住用住宅
カフェや美容室など、コンテナハウスのモダンな外観を活かした施設は街で見かけることも多いでしょう。
また2020年には被災地の仮設住宅としても使用されました。
他にも、感染症拡大時や震災時のひっ迫する医療現場のニーズに応える用途でコンテナハウスが設けられている地域もあります。
そして居住用としても人気があるコンテナハウスなので、コンテナハウスに住むメリットを次節から説明していきます。
(家・住宅として)コンテナハウスに住むメリット7つ
コンテナハウスに住むメリットは大きく分けて以下の7つがあります。
- (戸建てと比べて)値段がお手頃
- (住めるまでの)施工期間が短い
- (骨組みが頑丈)耐久性・耐震性◎
- (お洒落)設計の自由度が高い!
- (不要になったら)解体・売却できる
- (住んでる家ごと)移動ができる
- (比較的簡単に)増築ができる!
コストが低く、自由度が高いという点が主な魅力ですね。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
(戸建てと比べて)値段がお手頃
三大都市圏の一戸建ての相場は、大体4,000万円~5,000万円ほどです。
国土交通省の住宅局「住宅市場動向調査(2021年度)」によると三大都市圏の、注文住宅の金額の全国平均は、土地を購入して建てた場合は5,122万円、建売住宅の場合だと4,250万円です。
それに比べてコンテナハウスの相場はだいたい3,000~3,500万円ほど。主にかかる費用の項目は以下のとおりです。
- コンテナ本体の費用(80万~150万円/1個当たりの市場相場)
- 電気設備や給排水設備工事、内装や外装などの工事費
住宅として使用するのであれば、コンテナは欲しい部屋数ぶんは準備しなければならないので、希望部屋数によって変わります。
もし1つのコンテナだけでコンテナハウスを造る場合、約500万円ほどの予算で設置可能なケースも。(土地代は含まれません)
もし「部屋数もそんなに要らない」や「最低限の内装・外装で良い」ということであれば、もっと金額は抑えられます。
つまり戸建てと比べて、お手頃価格だといえますね。
(住めるまでの)施工期間が短い
一般的な一戸建て住宅の施工期間は約6~12ヶ月ですが、コンテナハウスの施工期間は約1~3ヶ月ほどです。
通常の一戸建ての施行の流れとコンテナハウスの施行の流れの違いを見ていきましょう。
通常の一戸建て
- 計画・見積:3ヶ月前後
- 契約・着工前の打ち合わせ:1か月前後
- 着工・引き渡し:3~5か月前後
コンテナハウス
- 現場調査:1ケ月以内
- 契約・着工前の打ち合わせ:1ヶ月前後
- 着工・引き渡し:2ヶ月前後
上記のように、コンテナハウスだと通常の一戸建てと比べて圧倒的に早く着工できます。
住居用コンテナは一般の一戸建てで言う「壁・屋根」がすでに出来上がっている状態のものを運んでくるため、着工から引き渡しまでに長い日数がかからない点が非常に魅力的ですね。
(骨組みが頑丈)耐久性・耐震性◎
コンテナハウスは耐久性・耐震性にも優れています。
耐久性
コンテナハウスは耐久性に優れています。なぜならコンテナハウスの寿命は50~100年ほどと言われているからです。
国税庁の耐用年数表によると、住居用のコンテナハウスの法定耐用年数は34年と定義されています。
しかし法定耐用年数がそのままコンテナハウスの寿命となるわけではありません。耐用年数は「減価償却資産として使用可能な期間」として法律(財務省令)で定めた年数を指します。
コンテナハウスの寿命について言えば、メンテナンスの仕方によっては50年以上もつと言われています。
耐震性
コンテナハウスは耐震性に優れています。なぜならビルやマンションと同じ工法で「重量鉄骨造」だからです。
鋼鉄製のため、一般的な木造住宅よりも耐震性があります。なぜなら、海上輸送に使われていたコンテナは、海での強い揺れに耐えられる頑丈な作りです。それ以上に住居用コンテナは更に強度が高く作られています。
近年では防災シェルターや被災地の仮設住宅としても取り入れられているため、その耐震性が伺えますね。
(お洒落)設計の自由度が高い!
コンテナハウスは外観がシンプルでお洒落な点と、設計の自由度が高い点も魅力の1つです。
まずは見た目がスタイリッシュ。コンテナならではのゴツゴツした質感と重量感です。
既存の一戸建て住宅とは少し変わっている、個性的な造りという印象を受けますね。
また住居用のコンテナはサイズが標準化されているため、組み合わせて使用する際は設計がしやすいのがメリットです。長方形の積み木のようなイメージで、それらを横に繋げて壁を取っ払えば横に広い空間の建物になり、上下に組み合わせると二階建ての建物になります。
またコンテナハウスは外観の素材もアルミニウムやスチールで統一されているので、塗装もしやすく、好みの色に塗り替えられます。
このようにコンテナハウスは、組み合わせや色を自由に選べる設計のしやすさが人気理由の1つです。
(不要になったら)解体・売却できる
コンテナハウスは解体したり売却できたりする点も魅力です。
新しい建物に建て替える場合や、その土地を売り出しにかける場合は、解体が必要となります。
コンテナハウスの解体費用は6畳ほどの広さのものなら6~12万円ほどの金額なので金額もお手頃です。
またコンテナハウスは取り壊すことなく運ぶことができるため、売却も可能です。
コンテナハウスを買い取ってくれる専門業者もあるので、気軽に売却の相談ができます。
(住んでる家ごと)移動ができる
コンテナハウスは家を取り壊すことなく、家ごと移設できるのも大きなメリットです。
もともとコンテナは、船や飛行機などを使って貨物を輸送するために使用されている箱です。
よって用途は移動がメインで使われている形状であるため、土地に据え付けている基礎の部分を取り外してしまえば、移設は難しくありません。
せっかく住み慣れた家を完全に手放すのは、大変だったり辛かったりがあるでしょうが、コンテナハウスであればトレーラーを使用してそのまま運ぶので、手間も労力もかなり軽減されます。
(比較的簡単に)増築ができる!
コンテナハウスの増築は一般の一戸建て住宅よりも比較的簡単に増築・増設が可能です。
通常の一戸建て住宅の増築は、壁を取り壊したりする作業が高い確率で発生します。
そのため増築工事が始まると、壁を取り壊すための騒音や粉塵が発生し、更に工事作業員の出入りが通常になるため、場合によってはホテルなどに移動せざるを得ない状況にもなります。
しかしコンテナハウスの場合、敷地内に余裕がありさえすれば、組み立てたコンテナハウスを運んで据え付けるだけで完了です。
また壁の取り壊しの費用等は不要であるため、コストも抑えられるメリットがあります。
(意外と知らない)コンテナハウスに住むデメリット!
ここまでコンテナハウスのメリットを紹介してきましたが、コンテナハウスに住むのにはデメリットもあります。
主なデメリットは以下の5つです。
- (規格)住めるのは建築専用コンテナ
- (住み心地)鉄製で熱がこもりやすい
- コンテナハウスに関する「法規制」
- (地震など)災害時でも大丈夫なの?
- 「中古コンテナ」は割高になるケースも
デメリットもしっかり把握したうえでコンテナハウスを考えましょう。1つずつ詳しく解説していきます。
(規格)住めるのは建築専用コンテナ
コンテナハウスとして使用できるのは、日本の建築基準法に基づいた建築専用コンテナです。
実際の輸送用に使用されているコンテナではない点には、注意が必要です。
建築用コンテナは建築会社や工務店、または海上用輸送コンテナメーカーの一部の会社が製作しています。
(住み心地)鉄製で熱がこもりやすい
コンテナハウスの住み心地でデメリットに感じるのが、熱がこもりやすいという点です。
コンテナハウスの素材は鉄製であるため熱が伝わりやすく、通常の一戸建てよりも建物内の気温が高くなります。
しかし住宅用コンテナハウスのほとんどは、グラスウールやウレタンフォームで造られた断熱材を使用した工事を採用するため、熱についてはさほど気にしなくても大丈夫です。
コンテナハウスに関する「法規制」
国土交通省により、コンテナハウスは建築基準法が規定する建築物と定義されています。
つまり建築基準法に反しているコンテナハウスは違法建築物とみなされるので、国からの指導が入ります。
また建築基準法第20条において、コンテナと基礎部分が適切に結合されていなかったり、積み重ねたコンテナ同士が適切に接合されていない場合も違反です。
よってコンテナハウスを建設する際にも、自治体のルールをあらかじめチェックしておく必要があります。
(地震など)災害時でも大丈夫なの?
地震などの災害時、コンテナハウスだと心配かもしれませんが、実際のところコンテナハウスは災害に強いです。
鉄製という点が強みであるため、木造住宅よりも倒壊の心配はありません。
「中古コンテナ」は割高になるケースも
安売りされていることも多い「中古コンテナ」は、コンテナハウスとして建設する際に割高となってしまうケースがあります。
中古コンテナは種類によって「建築確認申請」が通らない場合もあるからです。
15万円前後で販売されている中古コンテナは非常にリーズナブルなのですが、(以前コンテナハウスに使われることもあった)ISO海上輸送用コンテナも中古コンテナとして販売されている点には気を付けなければなりません。
ISO海上輸送用コンテナは「建築確認申請」が通りにくく、場合によっては大規模な改修等が必要になるケースもあります。
よってコンテナ自体の価格は安く抑えても中古コンテナを使用したことで、かえってコストがかかってしまうこともあるのです。
(相場)コンテナハウスにかかる費用はいくらくらい?
コンテナハウスにかかる費用には、大きく分けて以下の6つがあります。
- コンテナハウスにかかる「費用」
- (税金)固定資産税はかかるの?
- (定期的な)メンテナンスも必要
- (条件有)住宅ローンは使える?
- 「電気・ガス・水道」はどうする?
- コンテナハウスも「保険」に入れる
どれも気になる費用ですね。1つずつ詳しく見ていきましょう。
コンテナハウスにかかる「費用」
コンテナハウスを建築するための費用は、コンテナ1台分でも約500万円ほどかかります。
コンテナハウスの家を建てるにあたっては、下記が必要です。
- コンテナ代
- 土地代
- 基礎工事費
- 水道管工事費
- 電気工事費
- 内装費
- その他(窓、ドア、エアコンなど)
またコンテナハウスの「外観にこだわりたい」「個性的なデザインにしたい」などの希望があれば、更に費用は上乗せとなるので注意しましょう。
(税金)固定資産税はかかるの?
固定資産税とは土地や建物にかかる税金を指し、コンテナハウスは固定資産税がかかります。
コンテナハウスも一般の一戸建て住宅と同じように、土地を使用し屋根や壁を囲まれた建物であるため、建築物として扱われます。
よってコンテナハウスを所有した際には、固定資産税を支払うのが義務となるのです。
固定資産税の簡単な計算方法は、固定資産の評価額に1.4%をかけた数字です。自治体によって1.5%や1.6%などと異なることもあるので、しっかり確認しましょう。
(定期的な)メンテナンスも必要
コンテナハウスは定期的なメンテナンスも大切です。主なメンテナンス内容としては以下の3つがあります。
- サビ対策
- 雨漏り対策
- シロアリ対策
サビ対策
コンテナハウスに使用されている鋼材はサビのメンテナンスが必要です。
コンテナハウスの塗装には防サビ効果のある塗料が使用されているため、3~5年に1度は塗装が剥げている箇所がないかチェックします。
外壁補修工事業者やハウスメーカーに依頼をするか、自分で塗料の剥げている箇所だけ塗り直す必要があります。
雨漏り対策
コンテナハウスの雨漏りは屋根だけではなく、窓やドアなどの開口部にも生じる可能性があります。
もし雨漏れを発見した場合は、速やかに専門業者に依頼し、コーキングし直しましょう。
雨漏りはコンテナハウスの劣化スピードを早めてしまうため、定期的に雨漏りチェックをするのが大切です。
また屋根に水が溜まらないよう、屋根に勾配をつけて工事するのも、屋根の劣化を防ぐ方法の一つです。
シロアリ対策
コンテナハウスは気密性が高いことから湿度が上がりやすい特徴があり、シロアリ被害を受ける可能性が高いです。
シロアリは住宅のちょっとした隙間から侵入してきますし、羽アリとして窓や玄関から侵入する可能性もあります。
対策としては、シロアリの加害に強い断熱材を使用したり、配管周りや外壁の隙間をしっかり塞いで侵入を阻止したりしましょう。
また自宅にシロアリが1匹でもいた場合は、専門業者にしっかり駆除してもらうことも被害を広げないための対策です。
(条件有)住宅ローンは使える?
建築基準法に基づいて建設されたコンテナハウスについては、住宅ローンが使えます。
注意すべき点は先に挙げたISO海上輸送用コンテナ(中古コンテナ)を使用している場合です。
たとえ建築確認申請が通っていたとしても、中古コンテナを使用していた場合は住宅ローンが通りにくいと考えられます。
「電気・ガス・水道」はどうする?
コンテナハウスに住むにあたり、電気・ガス・水道などのライフラインの設備環境を整えるのは必須です。
電気
電気を自宅に引き込むには、まず電力会社用のメーターを設置し、ブレーカーを取り付ける場所を確保し分電盤を用意する必要があります。
ガス
都市ガスの配管を利用して工事するのがおすすめです。プロパンガスはかなり割高になってしまうケースがほとんどです。
水道
給水・給湯設備工事を行う必要があります。水道管工事・便器の取り付け・排水管工事を行います。
通常、上記は個人で手配するものではなく、ハウスメーカーに一括して依頼するほうが費用も手間も省けます。
しかし事前に相場が大体どのくらいなのかを確認し、ハウスメーカーから提示された金額が異常に高くないかを判断できるようにしておきましょう。
コンテナハウスも「保険」に入れる
コンテナハウスに住む場合も保険には加入できます。また、コンテナハウスは木造アパートと比べると保険料は安く抑えられる傾向にあります。
ちなみにですが、コンテナハウスの保険加入率は80%以上だと言われています。
ただ、現状の建築基準法の制定以前に建てられたISO海上輸送用コンテナ(中古コンテナ)を使用している場合、保険加入できない可能性もある点に注意が必要です。
詳しくは>>『【中古OK?】コンテナハウスの価格は?固定資産税はかかる?※不動産業者が解説。』をご覧ください。
(要約まとめ)コンテナハウスをおすすめしたい人
コンテナハウスは以下のような人におすすめです。
- シンプルでおしゃれな外観が好き
- できるだけ住宅購入の費用を抑えたい
- 家族の人数の増減に合わせて自宅を改築したい
- 長く住むつもりはなく、今後引っ越す可能性がある
上記に当てはまる人がいましたら、今後の住宅購入を考える際は是非「コンテナハウス」も視野に入れて、検討してみてくださいね!